2026年10月17日、上野の森美術館で開催中の「シンシナティ美術館展 ~アメリカに渡ったヨーロッパの至宝~」に行ってきました。
今回の展示は、風景画が多いと感じられ、私にとってとても好みの内容でした。月夜の城、冬の森、夏の夕暮れ、ポプラ林。同じ風景画でも、作品によって感じる空気や、目を引かれる部分が違うのが面白かったです。
この記事では、当日の混雑状況と、特に印象に残った4作品の感想を紹介します。
シンシナティ美術館展とは
本展は、アメリカのシンシナティ美術館が所蔵する作品を通して、ヨーロッパ近代美術の移り変わりを紹介する展覧会です。クールベ、モネ、ルノワール、ファン・ゴッホなどの絵画に加え、彫刻も展示されています。シンシナティ美術館展 <オフィシャルサイト>
有名な画家の作品を見られることも魅力ですが、今回は、それまで意識していなかった画家の作品にも強く惹かれました。知名度を問わず、自分の好きな絵に出会えるところが、こうした展覧会の楽しさだと感じます。
10月17日の混雑状況|大ゴッホ展のときより落ち着いて鑑賞できた
私が訪れた10月17日は、同じ上野の森美術館で5月31日に鑑賞した「大ゴッホ展」と比べて、かなり空いていると感じました。
混雑が強いと、作品そのものよりも周囲の人の流れが気になることがあります。その点、今回は自分が気になった絵に意識を向けやすく、風景画の世界を楽しめました。
もちろん、混雑状況は日や時間帯によって変わります。あくまで私が訪れたときの比較ですが、落ち着いて鑑賞できたことも、今回の満足度につながっています。
シンシナティ美術館展で印象に残った4作品
エーメ《月光に照らされた城のある風景》|物語を想像させる月夜
展示の序盤で特に心をつかまれたのが、エルンスト・フェルディナント・エーメの《月光に照らされた城のある風景》です。

とにかく、絵そのものの力がすごい。ひと目見たときから、現実の景色を眺めるというより、ファンタジーの世界に入り込むような感覚がありました。
「この城にドラキュラがいてもおかしくないのでは」と思ってしまうほど、想像が広がる作品です。これは私なりの連想ですが、そうした物語を考えたくなる雰囲気が、とても好みでした。
美しい景色であると同時に、何かが起こりそうな気配も感じる。その両方に惹かれ、序盤から好きな作品に出会えたのがうれしかったです。
クールベ《冬の森》|実物で感じた鹿の生命力
ギュスターヴ・クールベの《冬の森》では、描かれた鹿に目を奪われました。

ポストカードで見ると少し分かりづらいのですが、実際の絵の前では、鹿が生命力にあふれているように感じられたのです。風景の中に動物がいるというだけでなく、そこに生きている存在として目に入ってきて、視線が吸い寄せられました。
今回、画像と実物の印象の違いを特に感じた作品でもあります。同じ絵でも、実物を前にすると、自分の注目する場所や受け取るものが変わるのが面白いところです。
掲載するポストカードの写真は作品を振り返る手がかりになりますが、あの鹿から感じた生命力は、会場で見たからこそ強く残ったのだと思います。
ルソー《夏の夕暮れ》|夜の訪れと「メメント・モリ」
ピエール=エティエンヌ・テオドール・ルソーの《夏の夕暮れ》は、会場の解説と自分の感覚が結びついた作品でした。
キャプションには、「メメント・モリ(死を想え)」を深く想起させるという趣旨の説明がありました。実際に眺めていると、これから夜が訪れるような感覚があり、その言葉が妙にしっくりきたのです。
夕暮れは日常でも見られる風景ですが、一日が終わる時間だと意識すると、どこか寂しさも感じます。私には、その夜へ移っていく気配が、この絵に惹かれた理由のように思えました。
解説を読んだことで、絵の見え方を考えるきっかけになった一枚です。
ゴッホ《ポプラ林の中の二人》|木々の間隔から感じた歩くリズム
フィンセント・ファン・ゴッホの《ポプラ林の中の二人》は、展覧会のメインを飾る作品だけあって、やはり印象に残りました。

私が面白いと感じたのは、木々が並ぶ間隔です。幹を目で追っていると、歩いているときのようなリズムが聞こえてくる気がしました。
絵から実際に音がするわけではありませんが、木と木の間隔が、足を交互に進める感覚と重なりました。風景を見ているうちに、自分までその中を歩いているように感じられるところがよかったです。
有名な作品を実際に見られた喜びに加え、自分なりに心に残る部分を見つけられた一枚でした。
最後に
今回のシンシナティ美術館展は、風景画が好きな私にとって、満足度の高い展示でした。
エーメでは物語を想像し、クールベでは鹿の生命力を感じ、ルソーでは夜の訪れに惹かれ、ゴッホでは歩くリズムを感じる。それぞれ違った形で印象が残っています。
特に《冬の森》は、ポストカードだけでは受け取りきれない魅力を感じた作品でした。画像で知るだけでなく、実物を見に行く面白さを、改めて感じられた鑑賞になりました。


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