【ネタバレなし】『シュレディンガーズ・コール』感想レビュー|優しい物語と伏線が心に残る傑作ノベルゲーム

ゲーム

「世界が終わるその日、あなたは誰に電話をかけますか。」

そんな印象的な世界観に惹かれて遊んだのが『シュレディンガーズ・コール』です。

私が本作を購入した一番の理由は、同じ集英社ゲームズから発売された『都市伝説解体センター』がとても面白かったからでした。

『都市伝説解体センター』は、最後までプレイヤーを飽きさせないストーリーや伏線回収が印象的で、「次の集英社ゲームズ作品も遊んでみたい」と思える作品でした。そのため、『シュレディンガーズ・コール』が発表された時も自然と興味を持ち、発売を楽しみにしていました。

実際に最後までプレイしてみると、『都市伝説解体センター』とはゲーム性こそ異なるものの、「物語を丁寧に描く」という魅力は共通していると感じました。

今回はネタバレを避けながら、実際に約8時間プレイして感じた魅力を紹介します。


シュレディンガーズ・コールとは?

物語の舞台は、「月が地球へ落下し、世界が終わる21ナノ秒前」という、非常に印象的な世界。主人公の少女・メアリは記憶を失った状態で見知らぬ部屋で目を覚まし、そこで出会った謎の黒ネコ「ハムレット」から、「世界最後の話し相手」という役目を託されます。

部屋にある一台の電話には、生と死の狭間をさまよう魂たちから次々と着信が入ります。プレイヤーは電話越しに相手の話へ耳を傾け、それぞれが抱える後悔や心残りを知りながら、最後の時間をともに過ごしていくことになります。

ゲームシステムはシンプルですが、だからこそ物語や会話、演出にじっくり集中できます。電話の相手ごとに異なる人生や価値観が描かれ、「もし自分が最後の瞬間を迎えるなら誰に何を伝えるだろう」と自然に考えさせられる作品でした。

また、本作は単なるオムニバス形式ではありません。電話越しに出会う人々との会話を重ねる中で、メアリ自身がなぜこの場所にいるのか、失った記憶とは何なのか、そして世界が終わろうとしている理由など、さまざまな謎が少しずつ明らかになっていきます。ストーリーが進むほど続きが気になり、気付けば夢中で読み進めていました。

世界の終わりという重いテーマを扱いながらも、作品全体は絵本のような優しいタッチで描かれており、悲しいだけではなく、人と人とのつながりや「誰かと話すこと」の温かさを感じられる作品です。ストーリー重視のゲームや、クリア後に余韻が残る作品が好きな人には、ぜひプレイしてほしい一本です。


良かったところ

一人ひとりの物語が丁寧に描かれている

本作で最も魅力に感じたのは、登場人物一人ひとりの背景や感情が非常に丁寧に描かれていることです。

電話の相手となる人物はそれぞれ違う悩みや後悔を抱えており、その会話を聞いているだけでも自然と感情移入してしまいます。

誰かに伝えられなかった言葉や叶えられなかった約束、あと一歩勇気が出なかった後悔などどれも現実にもありそうな話だからこそ、重く心に響きました。

派手な演出で泣かせるのではなく、静かな会話の積み重ねによって少しずつ感情を動かしてくる作品です。

プレイしながら「もし自分だったらどうするだろう」と考える場面も多く、人それぞれ違った受け取り方ができる作品だと思いました。


優しい雰囲気のグラフィックと音楽

本作は世界観作りが本当に上手だと感じました。

絵本のようなキャラクターデザインや静かに流れるBGMなど独特な空気感が流れていました。

これこそが『シュレディンガーズコール』だけの空気感という感じがします。

また、ゲームを進めるほど、この世界にゆっくり入り込んでいくような感覚がありました。

最近は迫力のあるグラフィックのゲームも多いですが、本作は派手さではなく「雰囲気」で魅せる作品です。

画面を眺めているだけでも癒やされるような場面が多く、ストーリーとの相性も非常に良かったと思います。


約8時間で最後まで楽しめるちょうど良いボリューム

私がエンディングまで遊んだ時間は約8時間でした。

文章をじっくり読みながら進めても一日あればクリアできるくらいのボリュームです。

長すぎず短すぎず、ストーリーを最後まで集中して楽しめる長さだったと思います。

ノベルゲームは途中で休憩すると内容を忘れてしまうこともありますが、本作は一気に最後まで遊びたくなるテンポの良さもありました。

休日に腰を据えて遊ぶ作品としてもちょうど良いボリュームだと感じました。

ゲーム性よりストーリー重視

ゲームとしては選択肢や会話を読み進めることが中心になります。

そのため、アクションゲームやRPGのようなゲーム性を期待している人には少し物足りなく感じるかもしれません。

一方で、映画や小説のような物語を楽しみたい人には非常におすすめできます。



こんな人におすすめ

『シュレディンガーズ・コール』は次のような人におすすめです。

  • ストーリー重視のゲームが好きな人
  • ノベルゲームが好きな人
  • インディーゲームをよく遊ぶ人
  • クリア後に余韻が残る作品を探している人
  • 休日に8時間ほどで最後まで楽しめる作品を探している人

テーマが重いため遊ぶタイミングは選ぶ

本作では生と死、後悔、人との別れなどをテーマにしています。

決して暗いだけの作品ではありませんが、考えさせられる場面は多くあります。

そのため、明るいゲームを遊びたい時よりも、じっくり物語に浸りたい時に遊ぶ方が作品の魅力をより感じられると思いました。

最後に

『シュレディンガーズ・コール』は、派手なアクションや刺激的なゲームシステムで楽しませる作品ではありません。

その代わり、一人ひとりの人生や後悔、人とのつながりを丁寧に描き、静かにプレイヤーの心へ語りかけてくる作品でした。

私自身、『都市伝説解体センター』がきっかけで本作を購入しましたが、期待していたストーリー面は十分満足できる内容でした。

約8時間というプレイ時間の中で、登場人物たちと向き合い、最後には自然と余韻に浸っていました。

特にエンディングについては何も知らずに遊んでほしい作品です。

少しでも興味を持った方は、ぜひネタバレを見ず、自分自身の目でこの物語の結末を見届けてみてください。